面白かった本・良さが分からなかった本

最近読んだ本で、良かった本と自分に合わなかった本。

<良かった本>
自由の条件I ハイエク
 個人の知識の限界、人間や情報の不完全性を前提として議論を組み立てるハイエクの主張は、自分には共感できる部分が多い。自分も経験論者、反合理主義、自由主義者なのかもしれない。

経済学の宇宙 岩井克人
 経済学者の先生の自伝だが、学問的に付き合ってきた人が大物ばかりであり、学問の歴史も分かるような構造になっている。文章が綺麗で、かつとても読みやすく、引き込まれる。

人生談義 エピクテートス
 古代ギリシアのストア哲学者エピクテトスの言葉を集めたもの。自分の権内にあるものと無いものを区別し、権内にあるものに集中せよとの教えは、最近ブームになっているアドラーにも通じるものと思う。自己啓発本を読むよりこっちの本を読んだ方がいいと思う。

純粋理性批判 カント
 最後の最後でちゃぶ台をひっくり返すような議論をするので驚愕するが、現象と物自体を二元論的に見て、物そのものについて真理に到達することはできない、という理論は面白い。たぶん人間の全歴史の中で5本の指に入る哲学者だと思うが、自分の頭が追い付かず、途中、議論がわけわからなくなったので、読破するには根気が必要。ただし、途中を我慢すれば、最初と最後は読みやすい。それから、まえがきはカントの真摯な性格がにじみでていてとても素敵。

地球の履歴書 大河内直彦
 ストーリーの展開の仕方が素晴らしい。地球誕生から、海、火山、と少しずつテーマがシフトして地球の成り立ちを語る。こういう専門家が自分のような一般人に理解できる本を書いていただけるのは本当にありがたい。なぜ海がしょっぱいのか、今更ながら分かった。

幸福論 アラン
 幸福論といえば、他にもヒルティ、ラッセルが有名。ヒルティが宗教的、ラッセルが科学的であることに比べると、アランはエッセイ風で軽い。3人の中では一番肌に合った。訳が素敵。一番好きな翻訳箇所は、『「また雨かなんということだ、ちくしょう!」と言ったところで何の役にも立つまい。そう言ったところで、雨のしずくや、雲や、風が変わることはまったくないのだ。どうせいうなら、「ああ!結構なおしめりだ!」と、なぜ言わないのか。』という部分。次の箇所も良い。『「乳を吸う時のこの熱狂的歓喜は、生理的な意味において、この世にあるすべての熱狂的歓喜の最初の手本であり、ほんとうの手本である。』

人性論 ヒューム
 訳が悪いのか、自分の頭が悪いのか分からないが、論理が全く意味不明で、途中本を投げつけたくなったが、全体を俯瞰してみれば、理性の限界、共感の重要性、自由意志、正義の本質、認識論、現象学の元になる思想等が含まれていて、これをアダムスミスやカントに先駆けて、しかも25歳で書いたというのは、自分には到底理解の及ばないほどの天才であった人なのだと思う。

<現時点では、その良さが分からなかった本>
正義論 ロールズ
 アリストテレスからつながる正義の観念を、現代政治学で議論の遡上に乗せたという意味で極めて重要な本と思うが、自分にとっては最後まで違和感だらけの本だった。議論の前提を、実証分析でなく常識的な一般感覚なるものに委ねすぎていて、ひとたび反論しようと思えば、簡単に論破できるように見えてしまう。ロールズは冒頭で、本書はロック・ルソー・カントらの社会契約論を一般化したものである、と言っている。自分の感覚に全く合わなかったので、やはり自分は性格的にはリバタリアンなのかもしれない。第一章の翻訳は素晴らしかったが、途中から急に読みにくくなってくる。

民族とナショナリズム ゲルナー
 訳が悪いのか、自分の頭が悪いのか、抽象的で読みにくい。ゲルナーは民族について、道具主義、つまり自然発生的なものではなく、近代社会になってから国家が教育等を通じて作ったものである、との見方をしているが、これも自分の感覚に合わなかった。その意味では、ナショナリズム論の古典である、アンダーソンの想像の共同体も、自分の感覚に合わなかった。

政治学 アリストテレス
 「ニコマコス倫理学」とか、プラトンの「国家」は訳が素晴らしいし、内容も分かりやすいのに、本書は、個人的には訳が悪くて非常に読みにくかった。本筋とは関係ないが、これだけ緻密に論理を組み立てて、あるべき政体を述べているのに、結論としては奴隷制容認であり、時代が持つ限界を感じる。
 

 

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